・ペップグアルディオラ監督の戦術が知りたい...
・その戦術どんな意味があるの?
今回は上記の疑問を解決していきます。
ペップグアルディオラ監督というと稀代の戦術家で有名ですね。
最近でいうと偽サイドバックという言葉がかなり流行りましたが、それも彼の影響ですね。
でも見ていて疑問に思うこともあります。
その戦術、どんな意味があるの?やりすぎじゃね?
僕も高校の時に0トップ戦術を見た際はそう思っていましたm(__)m(笑)
そのためこの記事を読むとペップグアルディオラ監督の戦術がより詳しく理解できて今より確実にサッカー観戦が楽しくなりますよ。
本記事の信頼性
・プロサッカーコーチ9年目
・サッカースクール経営
・20年間サッカーと生きているので、そこそこ詳しいですm(__)m
それでは早速解説していきます。
目次
ペップグアルディオラ監督の戦術は大きく8つある
様々な戦術を採用することで有名ですが、そんな彼の戦術を6つにわけることができます。
それが以下です。
ペップの戦術
- ゴールキーパーのフィールドプレーヤー化
- ダウンスリー
- アップスリー
- スライドスリー
- 偽サイドバック
- 0トップ(偽センターフォワード)
- ローテーションサイド攻撃
- ポケットへの侵入
これらを解説していきます。
戦術①ゴールキーパーのフィールドプレーヤー化
ゴールキーパー界に大きな影響を及ぼした戦術です。
まぁ戦術というよりかは今まで考えられていたゴールキーパーの役割を増やしたといった方がいいのかもしれません。
本来ゴールキーパーの役割はこんな感じでした。
GKの役割
・ゴールを守る
・DFへのコーチング
めちゃくちゃざっくりわけるとこの2つでした。
GKの攻撃における役割を増やした
守備を基本としていた役割から、ペップグアルディオラ監督は高度な攻撃の役割を付け加えました。
GKの攻撃における役割
・DFラインと共にボールを循環させる
・どこが空いているかコーチングを行う
・常に守備になった時のことを考える
・カウンターを防ぐ
例えば以下のような感じです。
上図のようにゴールキーパーはDFの選手がプレッシャーを受けている時にサポートを行い、ボールを循環させる必要があります。
そうすることでよりボールを奪われにくくすることできるからですね。
ゴールキーパーはマークをされることがない唯一の選手ですから。
ポゼッションサッカーにおいてゴールキーパーのテクニックは超大事
上記で紹介したようにゴールキーパーは唯一マークをされない選手です。
つまり安全地帯であるということになります。
そのためポゼッションサッカーを行う上でゴールキーパーのテクニックは必要不可欠なのです。
戦術②ダウンスリー
これはセンターバックの間にボランチの選手が下りてくることを言います。
これにより相手フォワードに対してDFラインで数的優位を作ることができます。
比較的有名な戦術なのでこれはわかりやすいと思います。
ボランチの守備能力が高い場合に採用される
マンチェスターシティでいうと、フェルナンジーニョ、バルセロナではブスケツのような守備能力が高いボランチがいる場合にダウンスリーは採用されます。
というのももしボールを奪われた際にDFの選手としてプレーする必要があるからですね。
戦術③アップスリー
これはダウンスリーと同じ種類になりますが、相手FWに対し数的優位になるために行う戦術です。
センターバックが一つ前に上がり、その他DFが3バックになる感じですね。
ケガ人などの関係で採用する
このアップスリーは頻繁に採用されるものではなく、あくまで緊急用という感じでした。
メンディとストーンズの怪我により攻撃的なサイドバックとセンターバックを失い、フェルナンジーニョがセンターバックで起用されたときに採用されました。
バイエルン、バルセロナと歴代チームを見てもあまり使用されていなかった戦術です。
戦術④スライドスリー
これもダウンスリー、アップスリーと同じ種類になります。
右サイドバックを起点にどんどん左にズレることで3バックを形成、そして前線では2トップ気味になることがあります。
フォワードタイプのウィングの場合使われる
これはジェズスのようなセンターフォワードタイプのウィングが器用された場合に多く見られる形ですね。
より攻撃的に点を取りに行く際や、相手が5バック気味に固めている際に有効です。
そしてこのダウンスリー、アップスリー、スライドスリーは4-3-3フォーメーションと非常に相性がいいです。
サッカー4-3-3の完全ガイド【プロコーチによる徹底解説】にて詳しく4-3-3について解説しているので参考にどうぞ
戦術⑤偽サイドバック
これがペップが採用している革新的な戦術の中でもトレンドの戦術だと思います。
偽サイドバックではサイドバックがボランチに位置にくることで中央への数的優位を作ることができます。
中央で数的優位ができるとサイドが空きやすい
相手も中央を気にかけることになるので、逆にサイドが空きやすくなります。
マンチェスターシティでいうとベルナルドシウバ、スターリング、サネがどんどんドリブルできるということです。
最初に使用したバイエルンミュンヘンではラーム、アラバが中央に入ることで、ロッベン、リベリーなどがドリブルしていましたね。
戦術⑥0トップ
バルセロナの黄金時代を築いた戦術といっても過言ではない戦術ですね。
センターフォワードのメッシが下がり目のポジションを取ることで中央で数的優位を作ることができます。
相手のセンターバックを迷わせる
WGが背後を狙うことで、相手のセンターバックに「フォワードについていくべきか、留まるべきか」の2択を迫ります。
その迷いは時間を作ることができるので、バルセロナからしたらとても有利でしたね。
ちなみに0トップに関しては0トップ戦術の完全ガイド【これだけ見れば理解できる】にて詳しく解説しているので合わせて読んでいただければ、より深い知識となります。
戦術⑦ローテーションサイド攻撃
これはペップグアルディオラ監督の戦術を語る上では非常に大事なことですね。
特にマンチェスターシティの監督に就任してからはこnローテーションサイド攻撃を多用しています。
ローテーションサイド攻撃とはハーフレーンにいる選手とサイドレーンにいる選手が随時入れ替わる戦術です。
そのローテーションをサイドバック、ウィング、インサイドハーフの3人で行います。
下図は基本の立ち位置
それが相手が慣れ始めた時間帯で以下のような立ち位置に変更したります。
このローテーションを行うことで以下のメリットがあります。
・相手のマークを迷わせる
・相手の対応をより困難にさせる(相手SBの心情→最初は左利きのベルナルドと1vs1していたのに次はスピードがある右利きのウォーカー、そして次はクロスの精度化け物級のデブライネ...どうすんねん!)
・違う役割をこなすことで気分をリフレッシュできる
・サイドレーンに立つ選手は疲労度が高いので、疲れたら移動できる
戦術⑧ポケットへの侵入
これもペップが特に重要視している攻撃パターンですね。
下図のハーフレーン深くの赤四角のゾーンをポケットと言いますが、そこへの侵入を頻繁に狙います。
というよりほぼ攻撃はこの形が基本の動き方です。
ポケットへの侵入は以下のメリットがあります。
・サイドレーンからのクロスより精度が高いクロスを上げられる
・ゴロのクロスでも仲間に繋がる
・相手はボールとFWを同一視しにくい
例えば相手はボールとフォワードを同一視しにくいということでは、下図のような状態になります。
ここにボールが入ると相手センターバックはアグエロのことを見ることがより困難になります。
つまりフォワードにとってはかなる動きやすく、点が取りやすいエリアということです。
ペップグアルディオラ監督は状況に合わせて戦術を使い分ける
ペップグアルディオラ監督のすごいところはこれらの戦術を使い分けることにあると思います。
これらの戦術をただ採用するだけなら誰でもできるのです。
ただ単に使い分けるといってもその基準は多岐に渡ります。
使い分ける基準
- 選手の特徴
- 相手の長所と短所
- 試合状況・時間帯
- 天候・ピッチ状態
- 疲労
- リーグ状況
簡単に解説します。
選手の特徴
選手の特徴によってどの戦術を採用するかを微調整します。
例えば以下のアップスリーの場合は以下の選手の特徴から決められています。
選手の特徴
・フェルナンジーニョはそもそもボランチ適性がある
・ウォーカーは3バックでもプレーできる
・ラポルテも3バックでプレーできる
・ベルナルドシウバとスターリングをサイドで自由にさせたい
。デブライネは攻撃的なポジションを取ってほしい
もし右サイドバックにカンセロ、左サイドバックにメンディが採用されているとこのアップスリーは機能しないですね。
これら選手の特徴に合わせて適宜戦術を変更しています。
相手の長所と短所
相手の何が強いのか、また何が弱いのかによって戦術を使い分けます。
例えばリバプールはこんな特徴があります。
リバプールの特徴
・3トップが超強力
・守備から攻撃の切り替えが超早い
・4-3-3の特徴であるSBとWGの間は空きやすい
ということで以下のように4-2-3-1に変更します
そうすることで以下の効果があります。
・3トップに対して4バックで対応できる
・FWとWGの間にパスラインができる
・相手のSBとWGの間を活用できる
試合状況・時間帯
負けている時、勝っている、残り時間を加味したうえで戦術を決定、変更します。
というのも相手もその戦術に慣れてくることがあったり、より攻撃的な戦術を採用する必要性が出てくるからですね。
例えば点が取りたくてよりセンターフォワードタイプを起用したい場合は以下の感じ
天候・ピッチ状態
雨なのか、晴れなのか、また芝生は長いのか、短いのかによっても変更します。
例えば芝生が長い場合はパススピードが上がらないので、偽サイドバックによって中央の人数を増やしコンビネーションプレーで解決していくなどですね。
疲労
試合の中で特に疲労を感じている選手がいれば、交代をしますが交代をするほどでもない場合は戦術変更で休ませることもします。
そしてもちろん元気な選手がいる場合は、その選手により負荷のかかる役割を与える戦術を採用します。
選手の姿、表情をよく観ている証拠ですね。
リーグ状況
そしてもちろんリーグ制覇のためにこの試合に必ず勝ちたいのか、それとも引き分けでいいのかによっても変わります。
こちらのスライドスリーはより攻撃てきではありますが、リスクが高いですね。
そのため引き分けOKの試合ではあまり採用されません。
逆にダウンスリーは攻守においてバランスが良いので引き分けOKの試合でも採用されます。
とはいえ、クラブ規模などを考えるとほぼ引き分けOKの試合などはありませんが...
また今回ペップグアルディオラ監督の戦術を解説するにあたり基本フォーメーションは4-3-3で解説しました。
しかしその他フォーメーションにおいても様々な戦術、システム変化もありますのでサッカーの全フォーメーション【完全攻略】にて興味あるフォーメーションを調べてみてください。
ペップグアルディオラ監督の戦術の相性
どんな監督、戦術でも相手によって相性が良い、悪いがあります。
彼の場合はこちら
良い相性
・攻撃的な戦術
・ボールを支配しようとする戦術
悪い相性
・強いて言うなら堅守速攻
それぞれ簡単に解説します。
ボールを支配しようとする戦術には相性がいい
相手が攻撃的な戦術であっても、正直彼のチーム相手にボール支配率を上回ることがほぼ不可能です。
そのため相手からすると自分たちに思った攻撃ができないということになります。
つまり力には力で勝るといった感じです。
強いて言うなら堅守速攻に相性が良くない
とはいえ、正直彼のチームと対戦する際にボールを支配しようとする監督はほぼいません。
どうやって攻撃を食い止めてカウンターアタックを行うのかということにすべてを捧げないと勝てないからですね。
そのため強いて言うなら堅守速攻に相性が良くないということです。
しかし対策をしっかりと行うがそれを上回る攻撃を見せるのが彼のすごいところです。
ペップグアルディオラ監督の戦術まとめ
最後におさらいです。
ペップグアルディオラ監督の戦術は大きくわけてこちらの6つです。
ペップの戦術
- ゴールキーパーのフィールドプレーヤー化
- ダウンスリー
- アップスリー
- スライドスリー
- 偽サイドバック
- 0トップ(偽センターフォワード)
そして以下のことを加味しながら、試合ごとに、また試合中にも戦術変更を行います。
使い分ける基準
- 選手の特徴
- 相手の長所と短所
- 試合状況・時間帯
- 天候・ピッチ状態
- 疲労
- リーグ状況
相性はこちら
とはいえ、何度も言いますが悪い相性は強いて言うならという感じです。
良い相性
・攻撃的な戦術
・ボールを支配しようとする戦術
悪い相性
・強いて言うなら堅守速攻
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